中島聡さんの「シリコンバレーのエンジニアはWeb3の未来に何を見るのか」を読んで、これまで読んできたWeb3関連の本の中でも、“圧倒的に紹介する価値がある“と感じました。
そこで今回は、本の概要を紹介しつつ、本をきっかけに「エンジニアとしてWeb3とどう関わるべきか」を考えてみた私の思考の軌跡も紹介してみます。
少しでもWeb3の世界をより良いものとしていくために、この本が多くの人に届くことを願って。
「シリコンバレーのエンジニアはWeb3の未来に何を見るのか」の概要
本の内容は大きく以下の4つに分かれています。
- Web3とは何か
- Web3業界の現状
- 冬の時代の向こうにあるWeb3の未来
- Web3の未来に向けて私たちが考えるべきこと
1、2章では、Web3の概要から現状の問題点、可能性までが網羅的に解説されています。
この二つの章を読むだけで、Web3の全体像を理解することができるでしょう。
私自身も、これまでいまいち理解できていなかったWeb3の全体像や個々のワードの意味がこの二つの章を読むことでスッキリと理解できました。
3章では、中島さんがWeb3領域でこれまで試したこと、そしてその中で見えてきた「Web3の未来」についての考察がなされています。
4章では、中島さんのこれまでの経験を基に、Web3の領域でどのように考え、行動していくべきかが解説されています。
また本の中では、中島さん自身がエンジニアということもあり、各所にエンジニア視点の情報が散りばめられています。
もちろんWeb3に関わる全ての人におすすめですが、特にエンジニアの人には参考になる部分が多いでしょう。
「シリコンバレーのエンジニアはWeb3の未来に何を見るのか」のおすすめポイント
この本のおすすめポイントは以下の3点です。
- Web3の全体像や問題点が理解できる
- Web3の未来に対する中島さんの考察を学べる
- エンジニアとしてどう動くべきかのヒントが得られる
中島さんの巧みな説明によって、Web3の全体像や問題点がスッキリと理解できるのはもちろんのこと、Web3の未来について、中島さんの独自の見解が学べるのがこの本の大きな価値なのかなと思います。
ネタバレになるので、あえてその中身は紹介しませんが、キーワードは「DAO(組織)からDAE(エコシステム)へ」です。
気になる人はぜひ本を買って読んでみてください。
「シリコンバレーのエンジニアはWeb3の未来に何を見るのか」を読んで、エンジニアとしてどう動くべきかを考えてみた
私は日本でソフトウェアエンジニアとして働いている、新卒3年目の社会人です。
そんな私がこの本を持って率直に思ったことは、「Web3領域に挑戦していきたい」ということです。
理由としては、以下の四つです。
- Web3領域は可能性に溢れている
- 黎明期に手を動かすことでポジションを取れる
- スマートコントラクトの永続性に惹かれる
- 純粋にワクワクする
Web3領域は可能性に溢れている
現在の主流であるWeb2領域(私も今はここにいます)は良い意味でも悪い意味でも成熟しています。
もちろん、新たなイノベーションを生み出すことは可能だとは思います。
しかし競争相手が多い現状を考えると、容易なことではありません。
一方Web3は黎明期です。
社会のためになる真摯なサービスも存在はしますが、ポンジスキームまがいのサービスもあり、まさに「混沌」を極めている状態です。
しかしだからこそWeb3領域には多くの可能性とイノベーションの種が埋まっていると感じています。
美しい花を咲かせるチャンスがそこかしこにあるのです。
黎明期に手を動かすことでポジションを取れる
私は現在Web2の領域で働いていますが、正直この領域でエンジニアとしてポジションを取るのは難しいと感じています。
なぜなら、20年以上Webの領域で生き残ってきたシニアエンジニア達の圧倒的な経験値の前では、ほとんど勝ち目がないからです。
しかし、Web3の場合は違います。
黎明期ということもあり、まだまだWeb3に明るいエンジニアは少ないのが現状です。
その中でコツコツと手を動かして、一次情報にも触れて知識を蓄えていけば、数年である程度のポジションを取れるのではと考えています。
スマートコントラクトの永続性に惹かれる
Web2以前のアプリケーションは、ほとんど(というか全て)が刹那的なものでした。
要は、一時的には世の中を席巻したとしても、ある程度時間が経つと衰退していってしまうのです。
例えば、現在はYouTubeやInstagramが隆盛を極めていますが、100年後にはほぼ確実に存在しないでしょう。
Web2のソフトウェアには、「寿命」があるのです。それも短い。
一方で、Web3アプリケーション(Dapps9のスマートコントラクトは、ブロックチェーン上で半永久的に存在し、価値を提供し続けます。
その点に、土木エンジニアが作った橋や建造物が長く(100年以上)残り続けるのと同じような「ロマン」を感じるのです。
ただもちろん、綺麗事だけを言うつもりはありません。
根底には、「楽に自動で稼ぎ続けたい」という怠惰な欲求もちゃんと存在するということは書き加えておきます。
純粋にワクワクする
あとは単純にワクワクするというのも大きいです。
自分にとって、「先が見えていること」ほど退屈なものはありません。
その点でWeb3は全く先が見えないので、私自身の知的好奇心に大いに刺激を与えてくれます。
そういった領域に常に身を置いていたいというのは非常に大きいです。
今後どう行動していくか?
では、今後はどのように行動していくべきでしょうか?
個人的には、以下のように動いていこうと考えています。
- Web3に触れる
- 実際にDappsを作る
- 転職してWeb3のプロジェクトに携わる
1. Web3に触れる
まずはNFTやDAOなど、Web3のサービスに触れるところから始めます。
具体的には、NFTを買ってNouns DAO等のDAOに所属してみて、コミュニティ内の議論や雰囲気に触れてみたいと考えています。
さらに、ローンチされているDappsにも触れてみて、Web3の可能性と課題を体感してみたいです。
2. 実際にDappsを作る
次に、簡単なものでいいので、実際にSolidityを使ってDapps(スマートコントラクト)を作ってみたいです。
なぜなら、本の中で中島さんも触れていますが、やはりインプットだけでは自分の理解に限界があると考えているからです。
実際に物を作ることによって、Web3のエンジニアとして働く際に必要な多くの知見が得られると考えています。
3. 転職してWeb3のプロジェクトに携わる
そして最終的には、Web3のプロジェクトで働くことにも挑戦してみたいです。
これはWeb3に限りませんが、個人的には「実務に勝る勉強はない」と考えているからです。
やはり実際にWeb3の現場で手を動かしてスマートコントラクトをデプロイすることで、圧倒的に良質な経験が得られると考えています。
また働く分野についてですが、「社会と人々の役に立つ」分野で働きたいと考えています。
人々の射幸心を巧みに利用するようなビジネスにはなるべく携わりたくないです。
具体的には、以下の本の中の記述にもある通り、「公的な分野」では非常にエキサイティングな挑戦ができるのではないかと感じています。
誰にでも情報にアクセスできる透明性と、管理者がいなくても動き続ける永続性、そしてスマートコントラクトの自動処理による厳密性。これらの特徴をすべて兼ね備えた仕組みは、今のところWeb3以外には存在しません。
そう考えていくと、Web3が本質的な意味で最もその力を発揮するのは、国や自治体にかかわる公的な分野」であると私は考えています。
シリコンバレーのエンジニアはWeb3の未来に何を見るのか:おわりに
今回は、中島聡さんの「シリコンバレーのエンジニアはWeb3の未来に何を見るのか」という書籍を紹介してみました。
最初にも述べましたが、個人的には、Web3の現状と今後を理解する上で、最適な本だと考えています。
必ずや多くの学びを得られると思うので、実際に読んでみて頂けると嬉しいです。
今回は以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
「真に社会と人々の役に立つスマートコントラクトとそれを作るエンジニア」が世の中を支える未来を想像しながら筆を置きます。